技術情報 [製品お取扱上の注意]
電気絶縁用保護具・防具・防護具は配電線路の活線作業時、作業者の感電災害の防止及び建設現場での感電災害を防止するために欠くことのできないものであり、非常に重要な機能を有します。
特に保護具・防具は、労働安全衛生規則で定められた厚生労働省検定に合格した製品を使用するように、法令で義務づけられています。
また、厚生労働省検定合格品は定期自主検査の実施義務があります。
1. 種類と用途
保護具・防具・防護具は下記のように分類されます。
種類 | 用途 | 例 |
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保護具 | 充電電路に接触し、又は接近することにより、感電の危険が生ずる恐れのある時に、作業に従事する労働者が装着する。 | ・電気用ゴム手袋 ・電気作業用保安帽 ・絶縁衣 |
防具 | 労働者が感電の危険が生ずるおそれのある充電電路に装着する。 |
・ゴムシールド管 ・樹脂フロシキ等 |
防護具 | 工作物・建設等の作業を行う場合に感電防止のために充電電路に装着する。 | ・建設工事用防護管 |
保護具 |
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充電電路に接触し、又は接近することにより、感電の危険が生ずる恐れのある時に、作業に従事する労働者が装着する。 例:電気用ゴム手袋、電気作業用保安帽、絶縁衣 |
防具 |
労働者が感電の危険が生ずるおそれのある充電電路に装着する。 例:ゴムシールド管、樹脂フロシキ等 |
防護具 |
工作物・建設等の作業を行う場合に感電防止のために充電電路に装着する。 例:建設工事用防護管 |
2. 製品の劣化について
1 保護具・防具・防護具等の素材は優れた耐電性・物性のあるもので製造されておりますが、その用途に応じ耐熱性・復元性に優れた天然ゴムと、色彩性、耐候性に優れた合成樹脂とでは、経年劣化の起こり方が異なります。
ア ゴム製品の劣化について
一般的にゴム素材の製品の老劣化は表面から起こります。はじめは表面にオゾンクラックを生じ、末期にはベタつくようになり、弾力性が著しく低下します。
イ 合成樹脂製品の劣化について
合成樹脂製品の老劣化は内部分子が解離して、乾いた粘土のように見難いクラックが内部より表面に移行します。劣化すると、機械的強度が著しく低下し、終局ではポリバケツのように突然割れるようになりますので、外観から判定は難しいのが一般的です。
以上のように、いずれの材質の未使用品であっても程度の差こそあれ経年劣化は起こります。特に肉厚の薄いもの、使用頻度の高いもの、保管状態や定期絶縁性能試験の不適切なものはより劣化が進みます。
製品の保管方法についてはこちらをご覧ください。
絶縁ゴム製品維持管理上のご注意>>
絶縁樹脂製品維持管理上のご注意>>
2. 定期自主検査について
優れた絶縁具[保護具・防具・防護具]でも、長い間使用すると次第に劣化していきます。労働安全衛生規則では6ヶ月に1回、製品の絶縁性能検査を行い、規定の性能を失っているときは直ちに補修するか交換するよう、定められています。
また、純良な絶縁具でも電極が密着しないとテスト中に放電等によりオゾンクラックが入ることがあります。特に樹脂製品の耐電圧試験にあたってはリーク等により熱破壊が出ないように電極を密着し、沿面距離を充分とるよう心掛けて下さい。
弊社では定期自主検査の委託を承っております。
詳しくはこちらをご覧ください。
絶縁性能委託試験について>>
絶縁性能委託試験について
▲該当製品は詳細をご紹介しているページの上記赤枠の位置に表記しています
絶縁性能委託試験基準
1. 適用範囲
この絶縁性能委託試験基準は、厚生労働省安全衛生規則安全基準第5章(電気による危険の防止)第5節(管理)第351条「絶縁用保護具等の定期自主検査」に基づき活線作業及び活線近接作業に使用する絶縁用保護具及び防具等の定期的試験(6ヶ月毎に一度)を行うことにより、安全性を検証するための絶縁性能試験(以下試験と言う)を委託された場合、特に定めのないものについて適用される試験基準である。2. 外観検査
作業者が安心して使用出来るよう、活線作業中に出来た傷及び甚だしい汚れ、又は長期間使用のために生じた製品の老化現象(劣化)、その他著しく外観を損ずるような使用上有害な欠点等を目視によって判定する。外観検査
3. 耐電圧検査
JIS T 8010「絶縁用保護具・防具類の耐電圧試験方法」に基づき、水中試験及び気中試験に分類して交流規定試験電圧の75%まで速やかに上昇させ、以降は毎秒1,000Vの速度で上昇させ、規定の電圧に達したら、その後1分間耐えられるかどうかを検査する。水中試験
気中試験
4. 耐用年数超過検査
絶縁用保護具・防具・防護具の耐用年数は、原則として3年とする。5. 標示事項(試験合格証)
試験に合格した製品においては、下記の標示を製品の見易い位置に、容易に消えない方法で試験実施年月日を標示する。【標示例】
電気作業用保安帽合格印
6. 試験成績書
試験をした結果については、下記項目を試験成績書として作成し、依頼者に提出する。7. 試験点数
試験に合格した製品においては、下記の標示を製品の見易い位置に、容易に消えない方法で試験実施年月日を標示する。8. 判定基準(外観・耐圧)
・2個で1組のもので、片側が不合格と成った場合は、両方不合格とする。9. 不良の処理
・外観・耐電圧等の不良品については、良品とはっきり区別する為、ハサミ等を入れて使用不能とする。10. 標準規定電圧値
絶縁性能委託試験 | 参考電圧 厚生労働省の規定電圧値 | |
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使用電圧値 | 規定電圧値 | |
7,000V以下 | 10,000V | 10,000V以上 |
3,500V以下 | 6,000V | 6,000V以上 |
600V以下 | 1,500V | 1,500V以上 |
11. 試験料金
試験電圧に係わらず、1点に対する見積(契約)金額とする。絶縁ゴム製品維持管理上のご注意1. ご使用にあたって
絶縁樹脂製品維持管理上のご注意1.ご使用にあたって