絶縁シートの種類まとめ|高圧・低圧・透明・カットタイプまで徹底解説!

電気工事の安全対策に欠かせない絶縁シート。感電事故を防ぐため、高圧・低圧・透明・カットタイプなど様々な種類が展開されています。しかし「どれを選べば良いのか分からない…」と迷う方も多いでしょう。本記事では、絶縁シートの種類ごとの特長を徹底解説し、用途に合った製品の選び方や安全かつ効率的に作業するためのポイントをまとめます。

目次

絶縁シートとは?電気作業に欠かせない基本アイテム

絶縁シートは、電気設備の充電部を覆って感電を防ぐための防具です。作業者の安全確保において基本となる道具であり、構造や使用環境に応じて使い分けることが求められます。まずは絶縁シートの基本的な役割と分類について理解しておきましょう。

感電事故を防ぐための「被せる」「覆う」タイプの絶縁防具

絶縁シートは作業箇所や設備の上に「被せる」「覆う」ことで感電事故を防ぐ防具です。配電盤内部や露出した電線にシートを掛けておけば、不意に手や体が触れてしまう直接接触を防ぎ、工具の落下による短絡(ショート)事故も防止できます。絶縁手袋だけでは保護しきれない足元や膝なども、絶縁シートで充電部を覆えば安全性が格段に向上します。このように絶縁シートは設備側を絶縁して二重の感電防止策とする役割を果たすのです。

使用電圧に応じて高圧用と低圧用に分けられる

絶縁シートは使用する電圧に応じて「高圧用」と「低圧用」に分類されます。それぞれ要求される耐電性能や構造が異なり、高圧(数千ボルト級)向けは複数の樹脂層と繊維シートを組み合わせた多層構造や二層構造が採用され、耐電圧性能を高めているのが特長です。一方、低圧(~600V以下)向けは単層構造の薄手シートが主流で、柔軟で軽量なPVC製ターポリンなどが使われ、折り畳んで持ち運びしやすく作業性に優れています。

例えば高圧用には多層式の「高圧ポリフロシキ」や二層式の「防護シート」といった製品があり、低圧用には厚さ0.6mm程度の単層PVCシートが現場で扱いやすい製品として普及しています。なお労働安全衛生法上はAC300V超の絶縁シート(高圧7kV用・低圧600V用)は型式検定品となり、6ヶ月ごとの定期自主検査(耐電圧試験)が義務付けられます

低圧用絶縁シートの種類と特長を徹底解説

絶縁シートの中でも、特に製品バリエーションが多く選定に悩みやすいのが低圧用タイプです。用途や作業内容に応じた選び方が重要になります。ここでは主要な型番ごとに特徴と使いどころを整理します。

301・302|600V対応の単層ターポリンで扱いやすく丈夫

「301」「302」は交流600V以下で使用可能な低圧絶縁シートで、単層構造のPVCターポリン素材を採用しています。繊維シートを挟み込んだビニールレザークロス製で柔らかく耐久性に優れ、耐候性・耐寒性も高いため屋内外の配電盤作業に幅広く使えます

適度な厚みと強度があり破れにくく、繰り返し使用しても長持ちします。シートの四隅などに仮固定用の面ファスナー(ベルクロ)が付属しており、仮留め用として重宝します。なお301・302は厚生労働省の検定合格品であり、6ヶ月以内ごとの定期自主検査(耐圧試験)が必要となります。高圧に迫る600Vクラスまでカバーできる扱いやすいシートとして、低圧活線作業にはまず検討したい汎用モデルです。

306・307|300V以下の作業に適した軽量・柔軟タイプ

「306」「307」はAC300V以下での使用に対応した低圧絶縁シートで、301・302と同様の単層PVCターポリン素材を採用しています。最大の違いは型式検定の対象外であり、法令上の定期検査が不要な点です。これにより管理負担が軽減され、現場での使い勝手が向上します。厚さはいずれも約0.6mm。耐候性や耐寒性にも優れており、屋内外の低圧設備作業に適しています。柔らかく折り畳みやすいため持ち運びも簡単で、定期検査の手間を省きたい現場に最適です。

303・304・305|透明で視認性に優れた二層構造。マジックで2つ折り装着可能な製品も

「303」「304」「305」はいずれも透明な二層構造を採用した低圧絶縁シートで、シート越しに配電盤内部や電線の状態を視認できる点が大きな特長です。作業中に防護物がどの位置にあるかを確認しながら作業できるため、ミスや事故を防止できます。各サイズにハトメ穴が付いており吊り下げに対応。また、305はマジックテープ(面ファスナー)を使って、2つ折りでの装着も可能です。作業環境や対象設備に応じて柔軟に取り扱えます。見える安全を実現したい現場におすすめのシリーズです。

308-2・308-3・371-2|カット可能な透明シート。用途に応じた厚み・素材を選べる

カット可能な透明シートとして用意されているのが「308-2」「308-3」「371-2」です。いずれも任意の大きさにハサミやカッターで切って使えるマルチカット対応で、複雑な形状の設備や狭い場所にフィットさせやすいのが特長です定尺は10mのため、長尺を活かした広範囲の防護も可能です。素材はPVCをベースにした二層透明構造で視認性に優れており、厚さと柔軟性の違いで使い分けが可能です。

スクロールできます
品番使用電圧サイズ(定尺)構造厚み材料試験電圧
308-3直流750V以下 または 交流300V以下1,000mm巾 × 10m単層式0.3mmポリウレタン1,000V 1分間
308-2直流750V以下 または 交流300V以下1,000mm巾 × 10m単層式0.2mmポリウレタン1,000V 1分間
371-2直流750V以下 または 交流300V以下1,000mm巾 × 10m単層式0.2mmEVA1,000V 1分間

どれも定期検査不要で、短期作業から常設用途まで幅広く対応できます。作業内容や機器構造に応じて最適な型番を選びましょう。

まとめ|用途に応じて絶縁シートを選び、安全と作業効率を両立しよう

絶縁シートは作業電圧・視認性・携行性・固定方法など、現場ごとに求められる条件が異なります。ポイントを整理したうえで、自社の設備や作業スタイルに合った製品を選定することが、安全対策と作業効率の両立につながります。

適切な絶縁シートを選ぶことは、感電事故を未然に防ぎ、作業者の安全と安心を守る第一歩です。製品ごとの特長を理解し、最適な一枚を導入しましょう。

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