3. 知っておきたい関連法規 ~安衛法、JIS規格~

っておきたい関連法規
~安衛法、JIS規格~

絶縁用保護具・防具を取り巻く法律、省令、規格はいくつかありますが、ここではユーザー様の運用に関係するものだけを抜粋して掲載します。

目次

絶縁用保護具・防具とは?

保護具
防具
防護具

電気絶縁用保護具・防具・防護具は配電線路の活線作業時、作業者の感電災害の防止や建設現場での感電災害を防止するために欠くことのできないもので、重要な機能を有しています。

特に絶縁用保護具・防具は、労働安全衛生法で定められた「厚生労働省型式検定合格品」を使用するように、法令で義務づけられています。また、厚生労働省検定合格品は定期自主検査の実施義務があります。

種類と用途

種類用途
保護具充電電路に接触、接近することによって、感電の危険が生じる恐れのある作業従事者が装着する。高圧ゴム手袋
電気用ゴム長靴
絶縁衣
防具作業従事者に感電の危険が生じる恐れのある充電電路に装着する。高圧ポリフロシキ
低圧シート
防護具工作物・建設等の作業を行う場合に、短絡・地絡事故防止のために充電電路に装着する。建設工事用防護管
建設工事用防護板

これらについて厚生労働省告示の省令「絶縁用保護具等の規格」があります。各法令、規格は以下のような役割で相互に関連付けられており、保護具・防具に必要な品質や事業者の義務を定めています。

各法令、規格とその内容

所管省庁法令、規格内容
厚生労働省労働安全衛生法保護具等を扱う製造者や事業者の法的枠組みについて規定
 └労働安全衛生規則安衛法の具体的なルールについて規定
 └絶縁用保護具等の規格保護具・防具の定義を規定
経済産業省産業標準化法(JIS法)日本の工業標準を策定・改正するための法的枠組みを規定
 └日本産業規格(JIS規格)産業標準化法に基づき告示される個々の技術仕様書

(抜粋)労働安全衛生法

第42条 譲渡等の制限等

特定機械等以外の機械等で、別表第二に掲げるものその他危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、政令で定めるものは、厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置してはならない。

別表第二(第42条関係)
(中略)
十三 絶縁用保護具
十四 絶縁用防具

解説
保護具・防具が危険や健康障害を防止するためのものであり、厚労省の定める規格品である旨の記述があります。「政令で定めるもの」とは絶縁用保護具等の規格を指します。

第44条の2 型式検定

第42条の機械等のうち、別表第四に掲げる機械等で政令で定めるものを製造し、又は輸入した者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の登録を受けた者(以下「登録型式検定機関」という。)が行う当該機械等の型式についての検定を受けなければならない。

別表第四(第44条の2関係)
(中略)
十 絶縁用保護具
十一 絶縁用防具

解説
絶縁用保護具・防具は厚労省の型式検定に合格したものでないといけないことが明記されています。

第45条 定期自主検査

事業者は、ボイラーその他の機械等で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、定期に自主検査を行ない、及びその結果を記録しておかなければならない。

解説
絶縁用保護具・防具を保有する事業者は定期自主検査を行わなければならない旨の条文です。

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第120条 罰則

次の各号のいずれかに該当する者は、50万円以下の罰金に処する。
(中略)
第45条第1項若しくは第2項
(中略)
の規定に違反した者

解説
定期自主検査を適切に実施しなかった事業者は処罰の対象になります。

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(抜粋)労働安全衛生規則

第341条(高圧活線作業)

事業者は、高圧の充電電路の点検、修理等当該充電電路を取り扱う作業を行なう場合において、当該作業に従事する労働者について感電の危険が生ずるおそれのあるときは、次の各号のいずれかに該当する措置を講じなければならない。

一 労働者に絶縁用保護具を着用させ、かつ、当該充電電路のうち労働者が現に取り扱つている部分以外の部分が、接触し、又は接近することにより感電の危険が生ずるおそれのあるものに絶縁用防具を装着すること。

解説
高圧活線作業を行う事業者は、絶縁用保護具・防具を装着する義務があることについて書かれています。また、低圧活線作業についても第346条にて同様の定めがあります。

第342条(高圧活線近接作業)

事業者は、電路又はその支持物の敷設、点検、修理、塗装等の電気工事の作業を行なう場合において、当該作業に従事する労働者が高圧の充電電路に接触し、又は当該充電電路に対して頭上距離が30センチメートル以内又は躯く側距離若しくは足下距離が60センチメートル以内に接近することにより感電の危険が生ずるおそれのあるときは、当該充電電路に絶縁用防具を装着しなければならない。

解説
活線作業のみならず、活線近接作業を行う事業者においても、絶縁用保護具・防具を装着する義務があることと、その接近距離について書かれています。また、低圧電路についても第347条にて同様の定めがあります。

第343条(絶縁用防具の装着等)

事業者は、前二条の場合において、絶縁用防具の装着又は取りはずしの作業を労働者に行なわせるときは、当該作業に従事する労働者に、絶縁用保護具を着用させ、又は活線作業用器具若しくは活線作業用装置を使用させなければならない。

解説
保護具を着用しなければ、防具を取り付けてはならないという記述です。

第346条(低圧活線作業)

事業者は、低圧の充電電路の点検、修理等当該充電電路を取り扱う作業を行なう場合において、当該作業に従事する労働者について感電の危険が生ずるおそれのあるときは、当該労働者に絶縁用保護具を着用させ、又は活線作業用器具を使用させなければならない。

2 労働者は、前項の作業において、絶縁用保護具の着用又は活線作業用器具の使用を事業者から命じられたときは、これを着用し、又は使用しなければならない。

解説
高圧作業のみならず、低圧作業においても第341条と同様の義務があります。

第347条(低圧活線近接作業)

事業者は、低圧の充電電路に近接する場所で電路又はその支持物の敷設、点検、修理、塗装等の電気工事の作業を行なう場合において、当該作業に従事する労働者が当該充電電路に接触することにより感電の危険が生ずるおそれのあるときは、当該充電電路に絶縁用防具を装着しなければならない。

解説
低圧近接作業においても第342条と同様の義務があります。

第348条(絶縁用保護具等)

事業者は、次の各号に掲げる絶縁用保護具等については、それぞれの使用の目的に適応する種別、材質及び寸法のものを使用しなければならない。

一 第341条から第343条までの絶縁用保護具
二 第341条及び第342条の絶縁用防具
(中略)
五 第346条及び第347条の絶縁用保護具及び活線作業用器具並びに第347条の絶縁用防具

2 事業者は、前項第五号に掲げる絶縁用保護具、活線作業用器具及び絶縁用防具で、直流で750ボルト以下又は交流で300ボルト以下の充電電路に対して用いられるものにあつては、当該充電電路の電圧に応じた絶縁効力を有するものを使用しなければならない。

解説
2項にて、第44条の2の型式検定外であっても、適切な絶縁製品を使用しなければならないという内容です。絶縁性能(保証)のないゴム手袋やビニールシートなどを使用することがここで禁じられています。

第351条(絶縁用保護具等の定期自主検査)

事業者は、第348条第一項各号に掲げる絶縁用保護具等(同項第五号に掲げるものにあつては、交流で300ボルトを超える低圧の充電電路に対して用いられるものに限る。以下この条において同じ。)については、六月以内ごとに一回、定期に、その絶縁性能について自主検査を行わなければならない。ただし、六月を超える期間使用しない絶縁用保護具等の当該使用しない期間においては、この限りでない。
2 事業者は、前項ただし書の絶縁用保護具等については、その使用を再び開始する際に、その絶縁性能について自主検査を行なわなければならない。
3 事業者は、第一項又は第二項の自主検査の結果、当該絶縁用保護具等に異常を認めたときは、補修その他必要な措置を講じた後でなければ、これらを使用してはならない。
4 事業者は、第一項又は第二項の自主検査を行つたときは、次の事項を記録し、これを三年間保存しなければならない。

一 検査年月日
二 検査方法
三 検査箇所
四 検査の結果
五 検査を実施した者の氏名
六 検査の結果に基づいて補修等の措置を講じたときは、その内容

解説
保護具・防具は6ヶ月以内に一度、定期自主検査を行い、必要事項を記載した成績書を3年間保管します。
ポイントは但し書きの部分と2項です。6ヶ月以上使用しない場合、6ヶ月以内の検査は不要。ただし使用する前に必ず検査を実施する必要があります。

定期検査についてはこちら

第352条(電気機械器具等の使用前点検等)

事業者は、次の表の上欄に掲げる電気機械器具等を使用するときは、その日の使用を開始する前に当該電気機械器具等の種別に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる点検事項について点検し、異常を認めたときは、直ちに、補修し、又は取り換えなければならない。

電気機械器具等の種別点検事項
第341条から第343条までの絶縁用保護具ひび、割れ、破れその他の損傷の有無及び乾燥状態
第341条及び第342条の絶縁用防具
第346条及び第347条の絶縁用保護具及び活線作業用器具並びに第347条の絶縁用防具
第349条第三号及び第570条第一項第六号の絶縁用防護具

解説
使用前に必ず外観検査を実施することが、ここに義務付けられています。弊社取扱の電柱防護帯や建設工事用防護管は「防護具」の扱いとなり、保護具・防具と同様に使用前点検の対象になります。

(抜粋)絶縁用保護具等の規格

(絶縁用保護具の耐電圧性能等)

第3条 絶縁用保護具は、常温において試験交流(中略)による耐電圧試験を行つたときに、次の表の上欄に掲げる種別に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる電圧に対して1分間耐える性能を有するものでなければならない。

絶縁用保護具の種別電圧(単位 ボルト)
交流の電圧が300ボルトを超え600ボルト以下である電路について用いるもの3,000
交流の電圧が600ボルトを超え3,500ボルト以下である電路
又は直流の電圧が750ボルトを超え3,500ボルト以下である電路について用いるもの
12,000
電圧が3,500ボルトを超え7,000ボルト以下である電路について用いるもの20,000

解説
表から「交流300V未満」「直流750V未満」の保護具等は、政令で定められた「絶縁用保護具等」には該当しないことがわかります。
また、7,000Vを超える製品についても定めがありません。日本国内において特別高圧用の保護具・防具の規定は存在しないことが、ここから読み取れます。

(抜粋)日本産業規格

JIS T8112:2014(電気絶縁用手袋)より引用

表1-最大使用電圧による手袋の種類

手袋の種類(クラス)最大使用電圧 V
J00交流又は直流300
J0交流600又は直流750
J01交流又は直流3,500
J1交流又は直流7,000

表3-手袋の標準的長さ

手袋の種類(クラス)手袋の長さ(L)a) mm
J00270360
J0270360
J01360380410460
J1360380410460

注a) 長さの許容差は、全種類で±15mmとする。

解説
それまでA種、B種、C種としていた「手袋の種類」の呼び名が変わり、「直交流300V以下」の種類を新たに加え、2014年に改定されました。EVの普及などを背景に、低電圧帯においても安全機運の高まりを象徴する改定として注目を浴びました。

JIS T8010:2017(絶縁用保護具・防具類の耐電圧試験方法)より引用

試験方法の種類
a)水中試験
b)気中試験
c)散水後に行う気中試験

解説
保護具・防具はa)、b)の方法を用いて耐電圧試験を行います。主な製品の試験方法は以下の通りです。

・水中試験…電気絶縁用手袋、電気用長靴、電気用安全帽など
・気中試験…絶縁シート、耐電用ゴムマット、ゴムシールド管など

水中試験は水を電極としますが、気中試験は試験品の形状に合った導電体の治具が必要です。

お問い合わせ

製品・定期自主検査等のお問い合わせ
03-3541-3071(営業部)

その他のお問い合わせ
03-3541-6105(代表)

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