電気工事におすすめの手袋ランキングと選定ポイント(低圧編)

これから電路で作業を始める方向けに、渡部工業の低圧手袋を売上順にランキングしました。低圧手袋は、まず自分が触れる最大電圧を把握し、そこから最適なモデルを選ぶのが近道です。この記事では、初心者が迷いやすいポイントを最短で整理し、現場導入までスムーズに進められるように解説します。

目次

まずは「300V超」か「300V以下」かを確認する

絶縁手袋には JIS T8112(電気絶縁用手袋)によって4つの電圧区分があり、低圧手袋はこのうちの2区分が該当します。具体的にはJ00(AC300V以下およびDC750V以下) と、J00を超える区分として使われる J0(AC600V以下)という2つがあります。メーカーもこのクラス設計を基準に製品を構成しています。

まずはご使用になる対象電路の電圧が「300V超(直流の場合は750V超)」なのか「300V以下(直流の場合は750V以下)」なのかを確認しましょうなお、J0に該当する運用は労働安全衛生法の定期自主検査(耐電圧試験)の対象となるため、最初に必ず作業電圧を確認してください。

呼称区分JISクラス最大使用電圧定期自主検査
低圧J00交流300V以下 / 直流750V以下不要
低圧J0交流600V以下必要
高圧J01交流 / 直流3,500V以下必要
高圧J1交流 / 直流7,000V以下必要

第1位 505 低圧ゴム手袋(薄手タイプ)

低圧ゴム手袋(薄手タイプ)
  • 使用電圧はAC300V以下、またはDC750V以下
  • スタンダード(507)の約半分の厚み
  • 指先までフィットする細身設計
  • 配電盤、スマートメーター業務、EV整備まで幅広く対応

薄手・細指設計で“つまむ、回す、差し込む”がしやすく、初めてでも違和感が少ないモデル。必要性能を確保しつつ厚みを抑えているため、細かい操作を多用する現場で効率よく作業できます。

精密作業に強い薄手・細指設計

505は薄手かつ細指設計で、端子台のネジや小部品をつまんで位置合わせしやすいモデルです。標準モデル(507)と比べて厚みを半分程度に抑え、M5の小ねじを手締めで扱えるレベルの操作性を確保しています。自動車業界では「M5を素手感覚で扱えるか」が作業性の基準とされることがあり、この手袋はその要求に応えられる水準です。盤内結線やメーター周辺の微細作業など、EVやHEVの整備作業など、繊細さを求められる作業で特に活躍します。

第2位 507 低圧ゴム手袋(AC300V/DC750V以下用)

507低圧ゴム手袋
  • 使用電圧はAC300V以下、またはDC750V以下
  • 低圧手袋のスタンダード
  • 汗取り手袋を下履きできるゆとり設計
  • 教育・訓練用としても導入しやすい

低圧手袋のスタンダード。サイズ展開・使い勝手のバランスが良く、初導入やチーム配備の基準機として安心。また、スタンダードモデルゆえに、教育・訓練用にも適しています。まず507で基準を作り、必要に応じて505や506へ派生させると迷いません。

標準仕様で幅広く対応できる安心モデル

汗取り手袋(インナー)を下履きしやすい設計で、快適性と衛生を両立。汗は塩分を含む導電物のため、活線時の管理が重要。綿など吸汗性の高いインナー手袋を併用し、汗垂れを防止しましょう。サイズ展開があるため、貸与・在庫運用と相性良好。良くも悪くもクセが少ない標準形状なので、教育・訓練段階でも扱いやすいのが利点です。

第3位 508 低圧ゴム手袋(600V以下用)

508低圧ゴム手袋
  • 使用電圧はAC600V以下
  • 低圧ラインアップ中唯一の600V以下用
  • 形状は507と同様のスタンダード型
  • 労働安全衛生法により、定期自主検査が必要

低圧ラインアップでAC600Vまでをしっかりカバーするモデル。600V系の機器・回路に触れる可能性がある現場では第一候補になります。形状は標準型で、507からの移行もスムーズです。

600V系設備に必須のモデル

508はAC600Vまで対応できる唯一の低圧手袋です。600V系の盤や機器に触れる可能性がある現場では第一候補となります。507と同じ標準型なので使い勝手に差がなく、移行もスムーズです。重要なのは、労働安全衛生法に基づく定期自主検査が必須という点。点検や据付を担う現場では、使用計画と検査スケジュール、記録管理を一体で考える必要があります。

第4位 506 保護カバー付き低圧手袋 “ブループロテクト”

  • 使用電圧はAC/DC300V以下
  • 別売りカバーがいらない唯一の絶縁手袋
  • 大手電工会社で採用されているプロ仕様
  • 手首のバンドで装着感を調整できる

外層の保護カバーと内側の絶縁層を一体化した二層式。一体化により他のモデルにはない安全性と作業性の両立を実現しています。他の手袋には装着が推奨される別売りの保護カバーが不要のため、カバーの着脱や紛失管理の手間も省け、現場運用をシンプルにできます。ウレタン外層ならではのグリップ力も魅力です。

二層構造で擦過やバリから絶縁層を守る

低圧手袋ブループロテクト

506は外層の保護カバーと内側の絶縁層を一体化した二層式モデルです。そのため別売りカバーの着脱や紛失管理が不要になり、現場運用がシンプルに。外層が擦過や小傷を受け止めるため内側の絶縁層が長持ちし、耐久性が向上します。

手首のバンドで装着感を微調整でき、作業中もズレにくいのも特徴。工具干渉や金属エッジが多い据付・保守の場面、通い綱等の使用で表面摩耗が懸念される現場作業などで特に安心感を発揮します。

まとめ

まず「作業電路の電圧」を確認、J00なのかJ0なのか現場に合致する仕様を見定めましょう。次に作業性と耐久性の優先度でモデルを選ぶのが近道です。細かい作業を重視するなら505、汎用なら507、600V系を扱うなら508、擦過が多い工程なら506を基準に。必要に応じて汗取り用のインナー手袋や別売りの保護カバーも運用に加えれば、初めての方でも快適と安全を両立が可能です。

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