2. 安全にお使いいただくために ~使用方法、管理・点検方法~

全にお使いいただくために
~使用方法、管理・点検方法~

絶縁用保護具・防具には法令で定められた定期自主検査の実施義務がありますが、製品を安全にお使いいただくためには定期検査以外にも日々の点検は欠かせません。ここでは使用前後の製品の点検方法や保管等の取扱い方法について解説します。

使用前点検の実施

絶縁用保護具・防具の使用前は、労働安全衛生規則第352条(電気機械器具等の使用前点検等)に準じて外観検査を必ず実施し、異常が見つかった場合は直ちに使用を中止し、新品に交換してください。また、使用電圧以下であることを厳守してください。

1. 袖口を塞ぎ空気を溜める
2. 耳元に近づけ空気漏れがないかを音で確認する
  • 袖口を塞いで手袋内に空気を溜め、漏れがないかどうかを確認してください。
  • 手袋全体の外傷の有無を目視で確認してください。
  • 対象物に触れやすい指先、手の平、指股は特に念入りに目視点検してください。
  • ベタツキ、弾性の低下、クラック(ひび割れ)など製品劣化の有無を確認してください。
  • 特に胴脇は自重によるテンションが掛かりやすく、クラックの起こりやすい箇所です。製品をつまんで劣化の有無を念入りに確認してください。
  • 前日の雨天使用などで濡れた製品はそのまま使用せず、十分に乾燥させてから使用してください。

絶縁シートの使用前点検

絶縁シートを平面上に広げ、摩耗による表面剥離、刺し傷、裂傷、貫通痕、内層の露出、熱による溶解、その他異常がないか、必ず両面を目視点検してください。異常が見つかった場合は直ちに使用を中止し、新品に交換してください。

摩耗による糸の露出
刺し傷、裂傷
内層の露出
溶解
  • 前日の雨天使用などで濡れた製品はそのまま使用せず、十分に乾燥させてから使用してください。
  • シート両面を目視し、上記異常を発見した場合は使用を中止し、必ず新品に交換してください。

絶縁ゴム製品維持管理上のご注意

使用後のお手入れについて

  • 使用後はゴム製品にキズ、破れ等がないか外観検査を行ってください。
  • 油脂等の汚れが付着している場合は布等で拭き取り、水洗いの後、陰干しして、パウダー等をまんべんなく塗布して保管してください。
高圧ゴム手袋に付属のパウダー

高圧ゴム手袋に付属のパウダーについて

高圧ゴム手袋にはパウダーが付属しています。ゴム手袋は水分を嫌います。製品が濡れた場合は布等でよく拭き取った後、パウダーを打粉してください。

パウダーは、拭き取り切れない水分を吸収させたり、湿度の高い季節に製品全体に打粉することで、空気中の水分から手袋を守る役割を果たします。

付属のパウダーがなくなったら、ベビーパウダーなど身近にある粉末でも代用可能です。

保管場所、状態について

絶縁ゴム製品は高温多湿を避け、風通しの良い冷暗な場所で、専用の袋や箱に入れ、なるべく自然な状態を保ったまま保管してください。

製品を折り畳んだり、不必要なテンションを掛けた状態での保管はクラック(ひび割れ)発生の原因となります。

汚れがひどいとき

中性洗剤を希釈して洗い、その後水洗いをして乾燥させてください。

スクラブ入りや洗浄力の強い洗剤(酸・アルカリ性の洗剤、有機溶剤、ガソリン等)を原液のまま使用すると、ゴム・樹脂素材の劣化や標示捺印が消滅する恐れがありますのでお控えください。

望ましくない保管場所の例

オゾンの発生源となるキュービクル内やガレージ、倉庫内でも直射日光の当たる場所は避けて保管してください。蛍光灯下での保管も光による酸化劣化が進行します。ゴム手袋ケースや化粧箱に入れ、光が直接当たらないようにしてください。

高圧ゴム手袋などの天然ゴム製品は高温多湿を嫌います。夏場の工事車両の車内保管は劣化を促進させる原因となるのでおやめください。また、高熱を発する機器の近くや油や薬品の影響を受けやすい場所も避けてください。

望ましくない保管状態の例

絶縁ゴム製品は、製品の自然な状態を極力保ったまま保管をすることが望ましいです。製品を折り畳む、積み重ねるなど不必要なテンションをかけたままの保管方法は、クラックの原因となります。棒に立てる、吊るすといった保管方法も、製品の一点に重心が集中することでテンションがかかり、クラックの原因となります。

また、使用後は必ず保護カバーを外してください。特に(雨天作業などで)濡れた状態のカバーを着けたまま保管しますと、水分がゴム手袋本体に悪影響を及ぼすこともあります。

ゴム製品の経年劣化について

一般的にゴム素材の製品の劣化は表面から起こります。ゴムが劣化すると、表面にオゾンクラックやべたつきが生じ、末期にはゴムの弾性が著しく低下します。

未使用品であっても程度の差こそあれ経年劣化は起こります。特に肉厚の薄いもの、使用頻度の高いもの、保管状態や定期自主検査の試験方法が不適切なものはより劣化が進みます。

絶縁樹脂製品の維持管理上のご注意

使用後のお手入れについて

  • 使用後は樹脂製品にキズ、破れ、剥がれ等がないか外観検査を行ってください。
  • 汚れている場合は、バケツ一杯の水に中性洗剤をキャップ2~3杯程度入れ良くかき混ぜた後、タオル等の布に含ませ、軽く拭き取るようにして汚れを落としてください。
  • 油脂等の汚れが付着している場合には、中性洗剤の原液で汚れた部分を一度拭き取った後、真水で洗浄し陰干しで保管してください。

保管場所、状態について

絶縁樹脂製品は

  • 平置き
  • 2つ折り
  • 3つ折り
  • 丸める、などの収納が理想です。

4つ折り以上の「角」ができる折り方をしますと、「角」へのこすれやテンションにより劣化の促進につながります。

樹脂製品はゴム製品と違い復元力がありません。長期間折り畳んだり変形したまま保管をすると「クセ」が付きやすく、クセの付いた箇所から絶縁破壊を起こす場合がございますので、ご注意ください。

樹脂製品の経年劣化について

合成樹脂製品の老劣化は内部分子が解離して、乾いた粘土のように見難いクラックが内部より表面に移行します。

劣化すると、機械的強度が著しく低下し、終局ではポリバケツのように突然割れることもあり、外観上の判定は難しいのが特徴です。

未使用品であっても程度の差こそあれ経年劣化は起こります。特に肉厚の薄いもの、使用頻度の高いもの、保管状態や定期自主検査の試験方法が不適切なものはより劣化が進みます。

必要以上の耐電圧試験実施について

優れた絶縁性能を有する保護具・防具でも、同じ箇所にくり返し高い電圧負荷を与えることで、絶縁破壊を起こすことがあります。

弊社では絶縁用保護具等の規格に準じた電圧(使用電圧の約3倍)を出荷前検査として実施しておりますが、過酷な高電圧をくり返し印加することは、安全を担保する目的と相反して、製品に必要以上のストレスを与えることにもつながるため、最低限の実施に抑えることが理想です。

ユーザー様においては、労働安全衛生規則351条絶縁用保護具等の定期自主検査に準じた期間および規定電圧で実施されることを、当社では推奨しております。

お問い合わせ

製品・定期自主検査等のお問い合わせ
03-3541-3071(営業部)

その他のお問い合わせ
03-3541-6105(代表)