絶縁ゴムマットは電気工事やEV整備の現場で当たり前のように使われていますが、いざ「購入する側」になると、厚みや種類、呼び方の違いに戸惑うケースが少なくありません。本記事では、マット選びでよくある誤解を整理しつつ、実務目線で「迷わない選び方」と「定番」をシンプルに解説します。性能比較に時間をかけるよりも、安全に使える一枚をスムーズに選びたい方に向けた内容です。
耐電用ゴムマット(絶縁マット)とは?

電気設備まわりでの作業では、感電対策としてさまざまな保護具が使われます。その中でも耐電用ゴムマットは、比較的シンプルな使い方で効果を発揮する安全対策の一つです。まずは、このマットが何を目的とした製品なのかを整理しておきます。
床に敷くことで接地感電を防止するためのマット
耐電用ゴムマットは、床に敷くことで作業者と大地との間を絶縁し、接地感電のリスクを低減するためのマットです。特別な操作や装着を必要とせず、所定の場所に敷いてその上に立つだけで使用できます。たとえば受電設備の前や分電盤の前など、人が定位置で作業する場所に敷設することで、万一の漏電時にも感電しにくい環境を作れます。電気に直接触れるわけではありませんが、「足元の安全」を確保するという意味で重要な役割を担っています。
充電部に使用しない点が他の絶縁用保護具との違い
耐電用ゴムマットは、充電部そのものに被せたり巻き付けたりして使う製品ではありません。絶縁手袋や絶縁工具のように、通電部分に直接触れることを前提とした保護具とは役割が異なります。あくまで床に敷設し、作業者が接地側にならないよう補助する位置付けです。
耐電用ゴムマットに定期検査は必要なのか
購入を検討する際、「このマットは定期自主検査が必要なのか」という疑問を持つ方も多いはずです。ここでは、検査の有無についてよくある混乱を整理します。
なぜ定期検査の対象外とされているのか
耐電用ゴムマットは、法律上の「絶縁用保護具・防具」に分類されないため、定期的な耐電圧試験の義務がありません。これは性能が低いからではなく、「床に敷いて使う」という用途によるものです。手袋や衣類のように充電部へ直接触れる前提ではないため、同じ管理基準が求められていないという整理になります。日常的に状態を確認することは必要ですが、決められた周期での法的試験が不要という点が特徴です。
絶縁用保護具・防具の規格と耐電用ゴムマットの位置付け
絶縁手袋や電気用ゴム長靴は、作業者の身体を直接電気から守るため、明確な規格と検査ルールが定められています。一方、耐電用ゴムマットは作業環境を整えるための設備的要素が強く、同じ枠組みには含まれていません。この違いを理解していないと、「検査がない=不安」と感じてしまいがちですが、用途が違うだけだと捉えると納得しやすくなります。
耐電用ゴムマットの選び方は実はとても簡単
耐電用ゴムマットは種類が多く見えますが、選定基準は驚くほどシンプルです。まずは定番を押さえ、そのうえで用途に合わせて微調整するだけで十分です。
定番の厚みは6mm(バランスが良く扱いやすい)
迷った場合は、厚み6mmの耐電用ゴムマットを選んでおけば問題ありません。理由は単純で、重さ・取り扱いやすさのバランスが最も良いからです。薄すぎるマットは軽量がゆえに常設時のズレやめくれなどが心配されますし、厚すぎるマットは敷設や移動が大変になります。6mm厚は多くの電気工事現場で標準的に使われており、「まずこれ」という位置付けの厚みとして定着しています。
表面形状(平・筋入り)と色は用途で決める


厚みが決まったら、次に見るのは表面形状と色です。平タイプは掃除がしやすく、屋内の盤前作業などに向いています。筋入りタイプ(B山形状)は滑りにくさを重視したい場所で効果を発揮します。色については、視認性や現場ルールに合わせて選べば十分です。性能面で大きな差が出る部分ではないため、使用環境に合うかどうかを基準に考えるのが現実的です。
用途別に見る耐電用ゴムマットのおすすめ
ここでは、実際によく使われている耐電用ゴムマットを用途別に整理します。まずは一覧で全体像を確認してから、代表的なタイプを見ていきましょう。
渡部工業 耐電用ゴムマット ラインアップ
| 品番 | 厚み | 色 | 表面形状 | 使用電圧/試験電圧 |
|---|---|---|---|---|
| 450 | 6mm | 青 | 筋入(B山) | 7kV以下/20kV1分間 |
| 452 | 黒 | 平 | ||
| 455 | 10mm | 平 | ||
| 456 | 筋入(B山) | |||
| 457 | 3mm | 平 | 7kV以下/10kV1分間 | |
| 458 | 5mm | 平 |
6mm厚の代表的な耐電用ゴムマット
6mm厚のマットは、もっとも採用実績が多いタイプです。盤前や機器点検スペースに常設するケースが多く、扱いやすさと安心感のバランスが評価されています。初めて導入する場合や、用途が明確に決まっていない場合でも選びやすいのが特徴です。


6mm以外の厚み・タイプのマット
常設ではなく、対策が必要な場合だけ足元に敷く場合などは軽くて収納も比較的しやすい3mm厚定尺品など、6mm以外にも用途に合った選択肢があります。常設か可搬かといった条件を整理したうえで選ぶと、迷いがなくなります。
耐電用ゴムマットは屋外使用に向いているのか
耐電用ゴムマットは電気工事現場で幅広く使われていますが、設置場所について誤解されやすい点があります。特に「屋外でも問題なく使えるのではないか」と考えられがちですが、素材特性を理解しておかないと、想定外の劣化や安全性の低下につながります。
天然ゴム製のため屋外使用は推奨されていない
耐電用ゴムマットは天然ゴムを主原料としており、屋外での長期使用は基本的に推奨されていません。天然ゴムは柔軟性や絶縁性に優れる一方で、紫外線や風雨、温度変化の影響を受けやすい素材です。直射日光にさらされ続けることで硬化やひび割れが進行したり、雨水や湿気によって表面状態が変化したりする可能性があります。
たとえば屋外の変電設備前に常設した場合、見た目に大きな変化がなくても、時間とともに本来の性能を発揮しにくくなることがあります。そのため、耐電用ゴムマットは屋内使用を基本とし、屋外で使用する場合は一時的な敷設にとどめ、使用後は屋内で保管する運用が現実的です。
「絶縁マット」と「耐電マット」は何が違うのか
名称の違いで悩まれることがありますが、実務上は大きな違いはありません。
呼び方が違っても用途と役割は同じ
「絶縁マット」「耐電マット」「耐電用ゴムマット」は、いずれも床に敷いて感電リスクを下げる目的の製品です。メーカーや資料によって呼び方が異なるだけで、役割は共通しています。名称に引きずられず、用途で判断すれば問題ありません。
耐電用ゴムマットはカット販売できるのか
設置場所にぴったり合うサイズで用意できるかどうかも、購入時の重要なポイントです。
定尺から1m単位でのカット販売が可能
渡部工業の耐電用ゴムマットは、ロール状の定尺品から必要な長さだけカットして購入できます。1m単位で指定できるため、無駄が出にくいのが利点です。
販売単位割れの長さでも柔軟に対応
販売単位は1mですが、例えば3.5mを2枚で合計7mといった分割指定にも対応できます。敷設場所ごとにサイズが異なる現場でも、現実的な調達がしやすくなります。
まとめ
耐電用ゴムマット選びは、細かな性能比較よりも「用途に合っているか」「扱いやすいか」を重視することが大切です。定番である6mm厚を基準に考えれば、大きく迷うことはありません。基本を押さえたうえで現場に合う一枚を選ぶことが、安全で無理のない運用につながります。



