最強の絶縁素材はどれ?絶縁性能で比べたランキングTOP10

電気を通さない性能――それが絶縁素材の本質。では、絶縁性能だけで素材を比べたら、最強はどれなのか?ガラス?樹脂?セラミックス?それとも…絶縁用保護具・防具で多用される「天然ゴム」や「EVA」は、果たして何位にランクインするのでしょうか?意外な順位や、現場で採用される理由もあわせて解説します!

目次

絶縁性能で選ぶ!TOP10素材ランキング一覧

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順位素材名主な用途特徴
1位テフロン(PTFE)絶縁ワイヤー、基板、ケーブル高絶縁・耐薬品・耐熱
2位ガラス碍子、封止材、電子部品絶縁性◎・硬質・透明
3位セラミック高電圧機器、電子部品絶縁性◎・高温耐性
4位ポリイミドフレキ基板、絶縁フィルム耐熱・絶縁・高耐久
5位FRP絶縁棒、操作工具、カバー類絶縁性と強度のバランス
6位ポリカーボネートカバー、絶縁板、筐体絶縁性・耐衝撃性・透明性
7位ベークライトスイッチ部品、電装基板絶縁・硬質・加工性良好
8位シリコーン樹脂パッキン、モールド、シール柔軟・耐熱・絶縁
9位天然ゴム絶縁手袋・長靴など柔軟・加工性・絶縁性のバランス
10位EVA絶縁長靴、シート類軽量・柔軟・絶縁・コスパ良好

素材別|絶縁性能と保護具・防具への適性を解説

【🥇1位】テフロン(PTFE) 

PTFEは樹脂の中でも最強クラスの絶縁性能(体積抵抗率10¹⁸Ω・cm以上)を誇ります。化学的にも安定し、熱にも強いため、電子機器や高周波部品で重宝されています。ただし非常に滑りやすく、加硫や接着が難しいため、絶縁手袋や長靴といった成形加工が必要な保護具には不向きです。またコストも高いため、量産にも課題があります。

【🥈2位】ガラス

ガラスは無機素材ならではの絶縁性を持ち、碍子や電子デバイスの絶縁材として活躍しています。ただし脆性が強く、破損リスクが高いため、衝撃や柔軟性が求められる保護具には使えません。形状の自由度も限られ、靴や手袋に使うのは現実的ではありません。

【🥉3位】セラミック

セラミックもガラスと同様、高電圧に耐える優秀な絶縁材料です。碍子などでも多用されますが、やはり硬質で重く、衝撃に弱いという特性があります。また加工コストも高く、使い捨てや柔軟性が必要な防具類には不向きです。

【4位】ポリイミド

耐熱性・絶縁性ともにバランスが良く、柔軟性もあることから、モーターや絶縁テープに最適です。ですが、厚物成形や立体加工には不向きなため、ゴム製の保護具や大型防具の素材としては活用されにくいのが実情です。

【5位】FRP

ガラス繊維と樹脂を組み合わせたFRPは、絶縁性と強度を両立できる稀有な素材です。実際に、絶縁操作棒や機器カバーなどでは定番。ただし柔軟性がなく、直接身に着ける保護具にはやや不向き。渡部工業の「電気用ゴム長靴(先芯入り)」の先芯として採用されています

【6位】ポリカーボネート

透明で割れにくく、加工性にも優れるポリカーボネートは、絶縁シールドや透明防具に活用されています。成形が比較的容易で、コストも許容範囲内。ただし柔軟性には欠け、長靴や手袋などの素材には選ばれにくい傾向があります。

【7位】ベークライト

硬くて絶縁性に優れたフェノール樹脂「ベークライト」は、昭和期のスイッチ部品や配線板に多用されました。現在では重さや成形性、コストの面から採用が減少傾向。高機能な他素材に置き換えられてきています。

【8位】シリコーン樹脂

シリコーンは柔軟性があり、熱にも強く、絶縁パッキンや耐熱シールに使われます。ただし製造コストが高く、耐摩耗性や強度に限界があるため、保護具としての採用はされていません。用途を選ぶ素材です。

【9位】天然ゴム

体積抵抗率はおよそ10¹⁵Ω・cmと優秀で、かつ伸び・柔軟性・耐摩耗性に優れ、成形性も高いため、絶縁用保護具(手袋・長靴など)での定番素材です。高圧にも対応できるため、法令基準をクリアした検定品が多く、安全性・実績ともに申し分のない素材といえます。

【10位】EVA

EVA樹脂は加工性が高く、量産向けの素材です。また、柔軟で滑りにくく、絶縁性も安定。高圧ポリフロシキなどの防具で実際に採用されています。天然ゴムよりも軽く、加水分解もしにくいため、長期保管にも向いている素材です。

なぜ天然ゴムやEVAは絶縁用保護具・防具に選ばれるのか?

高い絶縁性能に加え、以下のようなバランスの良さが支持されています:

  • 柔軟性があり、装着感・作業性が良い
  • 成形加工しやすく、サイズ展開や厚み調整も自在
  • コストが比較的低く、製造安定性が高い
  • 規格品として検定試験に適合しやすい
  • 耐摩耗性や耐候性も一定水準を満たしている

これらの特長により、現場での信頼性と実績を両立しています。

まとめ

絶縁性能に優れた素材は数多くありますが、それがそのまま絶縁用保護具や防具に適しているとは限りません。
加工性・柔軟性・コスト・安全基準への適合性など、総合的なバランスが問われます。

だからこそ、天然ゴムやEVAのような“ちょうど良い”素材が現場で選ばれている理由にも納得がいくのではないでしょうか。絶縁素材を選ぶ際は、性能だけでなく「どこで・どう使うか?」もぜひ意識してみてください。

※本記事は各種公開資料・文献等をもとに独自に構成・整理したものであり、素材の性能値や適合性を保証するものではありません。実際の製品選定・使用にあたっては、各メーカーの仕様書や法令・規格を必ずご確認ください。

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